- 6月 4, 2026
いびきと女性ホルモンの関係について
いびきは空気の通り道(上気道)が狭くなり、軟口蓋粘膜(のどちんことその周囲の粘膜)が振動することで起こります。女性のいびきは男性とは異なり、ホルモンバランスの変化や骨格的な特徴が大きく影響します。一般的に、女性は男性に比べて顎が小さく、気道も細い傾向にあります。もともと気道に余裕が少ないため、少しの体重増加や筋力の低下でも、いびきにつながりやすいという特徴があります。
特に更年期以降に急増することから、女性ホルモンの減少が原因とされています。女性ホルモンはいびき防止ホルモンとも言える存在です。主に関係するのはエストロゲンとプロゲステロンです。
エストロゲンの上気道への作用
気道を広く保つ作用
- 上気道の粘膜のむくみを抑え結合組織に十分な潤いと弾力を維持し、気道の虚脱を防ぎ気道の通りを良くします。エストロゲンの分泌が低下すると気道が虚脱し狭くなります。
- 上気道を支える筋肉の緊張を高く保ち、睡眠中の気道開大を補助します。エストロゲンの分泌が低下すると筋肉が弛緩しやすくなり、舌根が沈下して気道を塞ぎやすくなります。
- 首まわり・咽頭周囲への脂肪沈着を予防する。エストロゲンの分泌が低下すると首まわり・咽頭周囲への脂肪沈着が促進され気道が狭くなります。
- 口腔・咽頭粘膜のコラーゲン産生を促進し軟口蓋(のどちんことその周辺の粘膜)の組織弾性を保つ作用があります。エストロゲンの分泌が低下すると粘膜が薄く乾燥しやすくなり、軟口蓋(のどちんことその周辺の粘膜)の組織弾性が失われピラピラの粘膜となって振動しやすくなります。結果として気道が物理的に狭くなります。
プロゲステロンの上気道への作用
上気道筋の緊張を保つ作用
プロゲステロンとエストロゲンの両方が上気道周囲筋(舌根・舌骨上筋群)の緊張度を維持する働きを持っています。ホルモン低下後は筋肉が過度に弛緩しやすくなり、舌根が沈下して気道を塞ぎやすくなります。
呼吸中枢の刺激作用
呼吸中枢を刺激し呼吸を深く安定させて、睡眠中の換気量を適切に維持する呼吸促進作用があることが知られています。ホルモン低下では睡眠中の二酸化炭素上昇を検知して呼吸により二酸化炭素の排出をうながす応答が鈍化します。軽い無呼吸が起きて二酸化炭素がたまっても気づかずに寝続ける状態になり、低酸素状態が長引きやすくなります。
改善方法
- 横向きで寝る
重力による気道の閉塞を防ぐ即効性のある方法です。
- 減量
体重を 5〜10%減らすだけでも気道の圧迫が緩和され、劇的に改善するケースが多く見られます。
- 飲酒を控える
アルコールの影響で筋肉が緩んで舌が沈下しやすくなります。飲酒を控えることでこの影響を抑えます。
治療
- マウスピース(口腔内装置)
舌根沈下を抑制する作用がありますが軟口蓋低位には作用しませんので効果は限定的です。
- 手術
軟口蓋形成術による軟口蓋粘膜を減量し適正化をはかります。舌の位置は正常で軟口蓋粘膜自体が低い位置に及んでいる場合は特に効果が見込まれます。
執筆: 院長 坂本幸士
