- 6月 4, 2026
いびきと無呼吸症候群の関係について
いびきと睡眠時無呼吸症候群(sleep apnea syndrome: SAS)はとても密接な関係があります。いびきは気道が狭いが通っている状態で無呼吸は気道が一時的に閉塞する状態です。いびきは無呼吸の前兆であり、無呼吸は血液中の酸素不足を招く危険な状態を指します。ただし必ずしも「いびき=無呼吸」ではありませんが、無呼吸の多くはいびきを伴います。
メカニズムの違い
いびき
空気は通っているが気道が狭いため乱流が発生し軟口蓋が振動して音が発生します。
無呼吸
気道が完全またはほぼ閉塞し呼吸が10秒以上止まるため血中酸素が低下します。
気道が少し狭くなるといびきをかき始めます。さらに気道が狭くなるといびきが大きくなり、気道が完全に閉じると無呼になります。ある程度の時間無呼吸が持続すると血中酸素濃度が低下し、苦しくなって覚醒して再び呼吸をし始めます。このようにいびきが無呼吸に移行することはしばしばあり、いびきと無呼吸は連続した現象ということができます。無呼吸症候群の場合おおきないびきを伴うことがほとんどですが、気道の閉塞が不完全な場合いびきのみで無呼吸を伴わないという場合も存在します。
なぜ「いびきを放置」してはいけないのか
いびきが無呼吸に移行し、体内の酸素が不足し続けると、以下のような深刻な影響が出始めます。
- 日常生活への影響
- 熟睡感がない: 脳が呼吸のために何度も覚醒するため、深い睡眠(ノンレム睡眠)が取れません。
- 日中の激しい眠気: 集中力の低下、居眠り運転、仕事のミスに繋がります。
- 生命へのリスク
無呼吸による酸欠状態は、心臓や血管に極めて大きな負担をかけます。
- 高血圧: 呼吸を再開しようと交感神経が刺激され、血圧が急上昇します。
- 心血管疾患: 脳卒中、心筋梗塞、不整脈のリスクが、健康な人の数倍に跳ね上がります。
- 代謝疾患: 2型糖尿病や肥満の悪化を招きます。
対応
いびきのみの場合
- 減量する
- 飲酒を控える
- 横向で寝る
- 鼻詰まりの治療
- 軟口蓋形成術
睡眠時無呼吸症候群が疑われる場合
- 簡易検査
検査機械をお貸ししますので3日間ほど睡眠時に検査機器を装着し睡眠の記録を取っていただきます。当院でも対応しています。
- 精密検査
病院に夕方から1泊入院し脳波を含めた睡眠状態の記録を行います。
- CPAP(持続的陽圧換気)治療
機器を装着し呼吸時に陽圧をかけて起動閉塞を抑制して無呼吸も抑制する装置です。非常に高い改善効果が見られます。当院でも対応しています。
しかしながらCPAPには以下のような短所があることも十分に留意しなければなりません。
- あくまでも対症療法である
CPAPを長期間使用することで咽頭の形が変化するわけではありません。使用をやめると即座に睡眠時無呼吸症候群の状態に戻ります。
- 繊細な人は違和感でかえって睡眠が阻害される
呼吸を補助する陽圧換気によって生じる違和感を強く感じる繊細な方はかえって眠りにつくことが困難となり睡眠不足になるリスクがあります。
- 強い鼻づまりがある場合は鼻マスクが使用できない
通常は鼻だけを覆うマスクで陽圧換気を行いますので、強い鼻づまりがある場合は高圧で換気をしないと呼吸が保持されません。そのため強い違和感を感じ睡眠中に自然に鼻マスクを取ってしまうことが多く陽圧換気がされないことになります。その場合は鼻と口の両方を覆うマスクを使用することになりますが、より強く違和感を感じてマスクを自己で外してしまうことが多いようです。
- 使用期間は月額約4300円の費用が終生発生する
CPAPの機器は通常は買い取りではなく、保険適用の場合は毎月の管理料の中から医療機関が業者にレンタル料を支払う構造になっています。月1回の医療機関受診は必須であり、CPAPの使用期間は月額約4300円の費用が終生発生します。
- 乗り物(飛行機、バス)の中では使用が難しい
CPAPの機器は以前の世代の機器と比較するとかなり軽量小型化され、稼働中の発生音も小さくなるよう改良されています。国内・海外出張に持って行き使用することは十分可能ですが、移動中の飛行機やバスの中で使用することは発生音が他の方に迷惑をかける場合があり難しいでしょう。
- レーザー補助下軟口蓋形成術
対象はあくまでいびきですが気道を広げることにより睡眠時無呼吸を改善する可能性があります。


執筆: 院長 坂本幸士
